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会話で紡ぐ高校野球~柴山家Ⅰ~

     投稿者:坂谷成実

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「……ふぅ、気持ち良かった。柴山、ありがとう」
「何か、お前に素直に礼を言われたん、えらい久しぶりな気ィするな」
「いやいや。今日は何もない。素直にしかない」
「一銭にもならんけどな」
「親御さん寝てはるんやろ? すまんな」
「風呂場は寝室から一番遠いから、あのくらいなら大丈夫なはずや」
「重ね重ね、申し訳ない」
「宿賃出せ」
「ああ、はいはい。これ」
「ほう。なかなか良さそうではないか」
「五組のヤツから、借金の代わりにいただいたばっかりやからな」
「いくら貸したんや?」
「二千円。半年前にな」
「DVDくらいやったらしゃーないか、それは」
「元金までチャラにしたんやぞ。損したくらいや」
「確かに。このDVDの値段が980円やもんな」
「嘘やろ。定価2980円って書いてあるやんけ」
「残念ながら、中に中古のシールが残ってる」
「あの野郎、隠してやがったな」
「しかも、三年前の発売やからな。相場やろ」
「巧妙なことしやがって」
「でも、中のシールを剥がし忘れた辺りに、カワイさを感じるな」
「まあ、貸した金は落としたんと一緒や。諦めとる」
「明日にでもゆっくり鑑賞するとしよう」
「で、今夜は寝るんか?」
「ちょっと話そうぜ。酒でも入れて」
「おう。残ったら嫌やから、かるーくな」
「素面じゃ話せん野球論を交わしたい」
「そんな大仰なモン持ってへんっちゅうねん」
「だから、酔わんと言えんのやろうが」
「そういうことか」
「そういうことや」




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